この記事の要点
- 1本の完成度を上げても、その1本が届く人数はほとんど変わらない
- 作品として突き詰める力と、届ける力は別のスキル。1本に両方を背負わせない
- つくる人ほど手が止まるのは、納得できないものを出せないから。腕がある証拠でもある
- 同じ時間で3本出して比べた方が、当たりの見つけ方が分かる
- 完成度が効くのは、届いたあと。信頼をつくる場面では手を抜かない
- SNSを作品だと思うなら外注しない方がいい。表現で選ばれている人が表現を外注すると、選ばれる理由が薄まる
- 完璧を求めるなら、その分の金額が要る。安い金額で完璧だけは成立しない
1本の動画に、何時間かけていますか。
色を調整して、テロップの位置を1ピクセル動かして、音楽を差し替えて、通しで見て、やっぱり違う気がして最初から作り直す。
気づいたら深夜2時。それでも納得がいっていない。
その気持ち、すごく分かります。というか、それができる人は腕がある人です。妥協できないから、いいものが作れる。
ただ、今日はちょっと厳しい話をします。
その時間をかけても、その1本が届く人数は、ほとんど変わりません。
完成度と、届く量は別の線です
これ、けっこう誤解されているところです。
完成度を上げると、届いた人の中で反応してくれる割合は上がります。 ここは間違いなく上がります。だから完成度に意味がないとは、まったく思っていません。
でも、そもそも何人に届くかを決めているのは、別のものです。
- どれだけ交流しているか
- どれだけ続けて出しているか
- 広告を出しているかどうか
完成度は、ここに入っていません。
言い方を変えると、100点の動画を1本出しても、届く範囲は100点分にはならないんです。届く範囲を決めているのは、動画の外側にあるからです。
ここを混ぜて考えていると、こうなります。伸びない → 完成度が足りないからだ → もっと時間をかける → やっぱり伸びない → もっと時間をかける。
この輪から抜けられなくなります。
ここだけの話、それは「作品」を作っています
もう少し踏み込みます。
深夜2時まで直しているとき、あなたが向き合っているのは、たぶんお客さんじゃないです。
自分の中の「これじゃない」と向き合っています。
それは作品づくりです。悪いことじゃありません。むしろ、それができるから、あなたの仕事には価値があるんだと思います。
ただ、一度だけ自分に聞いてみてほしいんです。
この1本で、芸術をやりたいのか。それとも、お客さんに来てほしいのか。
どちらが正しいという話じゃないです。作品として突き詰めたいなら、それは立派な目的です。私はそれを否定する気は1ミリもありません。
でも、この2つはまったく別のスキルなんです。そして、1本の動画に両方を背負わせると、たいてい両方が中途半端になります。
作品として突き詰めるなら、時間をかけるべきです。届けるためなら、時間の使い方が変わります。先に、どっちのつもりで作っているかを決めてください。
つくる人ほど、ここでつまずきます
これ、才能のある人ほどハマります。
理由は単純で、目が肥えているからです。
自分の中に「いいもの」の基準がはっきりある。だから、その基準に届いていないものを出すのが、本当に苦しい。出した瞬間に恥ずかしくなる。
だから出せない。
一方で、そこまで目が肥えていない人は、平気で出します。そして、出しているうちに反応を集めて、どんどん学習していきます。
半年後、どうなっているか。
目は肥えていないけど100本出した人の方が、目は肥えているけど5本しか出していない人より、伸びていることがあります。
これ、けっこう残酷な話です。腕があるのに、腕があるせいで止まっている。
でも逆に言うと、出す量さえ変えられれば、あなたの方が確実に強いです。 目が肥えているのは資産なので。
3本出して比べた方が、答えが出ます
じゃあどうするか。
1本を磨く時間で、3本作って出してください。
これ、雑にやれという意味じゃないです。当たるかどうかは、出してみないと分からないからです。
1本を完璧に仕上げても、それが当たりかどうかは分かりません。100点にした1本が外れることも、普通にあります。というか、よくあります。
でも3本出すと、差が見えます。
「あ、この切り口の方が最後まで見られてる」「この言い方の方が保存されてる」
この差が、次に何を直せばいいかを教えてくれます。 1本だけだと、比べるものがないので何も分かりません。
つまり、3本出すのは手抜きじゃなくて、情報を取りに行く動きです。ここ、大事なところです。
完成度が効くのは、届いたあとです
誤解されたくないので、はっきり書いておきます。
完成度を捨てろとは言っていません。
完成度が効く場面は、ちゃんとあります。それは、届いたあとです。
- プロフィールを見に来た人が、他の投稿も見るかどうか
- 保存してもらえるかどうか
- 「この人ちゃんとしてるな」と思ってもらえるかどうか
ここでは、質が直接効きます。だから、届いたあとに見られる場所こそ、手を抜かないでください。
順番で言うとこうです。
- まず届く量を増やす(続けて出す、交流する)
- 届いた人に納得してもらう(ここで完成度が効く)
多くの人は、1を飛ばして2ばかりやっています。見てくれる人がいない状態で、見え方を磨いているんです。もったいないです。
SNSを作品だと思うなら、自分でやった方がいいです
ここ、けっこう大事な分かれ道なので書いておきます。
投稿を外注しようか迷っている人、多いと思います。時間がないので、当然の選択です。
ただ、あなたがSNSを作品だと思っているなら、外注しない方がいいです。
理由は単純で、作品は代わりに作れないからです。
外注できるのは、決まった形の作業です。テロップを入れる、カットをつなぐ、素材を整える。ここは任せられます。
でも、何を撮るか、何を言うか、どういう空気で出すか。 ここはあなたの表現そのものです。ここを人に渡すと、出てくるものは「よくできているけど、あなたじゃないもの」になります。
そして厄介なのが、それでも回ってしまうことです。投稿は増える。見た目も整っている。でも、なんとなく他の人と同じに見えてくる。
表現で選ばれている人が、表現を外注すると、選ばれる理由が薄まります。
だから、こう分けてください。
- 作品として出したい → 自分で作る。時間を確保する側を調整する
- 告知や案内として出したい → 外注していい。ここは形が決まっている
同じアカウントの中で、両方あっていいです。全部を作品にしようとすると続かないし、全部を外注すると自分が消えます。
完璧を求めるなら、その分の金額が要ります
もう1つ、外注する場合の話です。
外注しても完璧を求めたい、という気持ちは分かります。自分でやるより良いものが出てくるはずだ、と思うのも自然です。
ただ、ここは正直に書きます。
完璧を求めるなら、それなりの金額が要ります。
なぜかというと、完璧というのは、すり合わせの回数だからです。
安い見積もりは、腕が悪いから安いわけじゃありません。削られているのは、たいてい往復の回数です。1回出して、1回直して、終わり。そういう前提の金額になっています。
そこに「もう1回」「やっぱりここも」を10回乗せたら、受ける側は最初の金額のまま10倍の時間を使うことになります。
これ、どちらが悪いという話ではありません。最初に決めていなかっただけです。
だから、こう考えてください。
- 早く安く回したい → 60点で出す前提にする。直しは次の1本で
- 完璧にしたい → 往復の回数を最初に決めて、その分の金額を払う
どちらも正しいです。 ただ、安い金額で完璧を求めるのだけは成立しません。 ここは物理的に無理です。
修正1回にいくらかかっているかは、知り合いに無料で頼むなら、あなたの仕事も無料でやってあげられますかに具体的に書きました。
出す基準を、先に決めてください
意志の力でどうにかしようとしないでください。無理です。目が肥えている限り、いつまでも直したくなります。
だから、先にルールを決めます。
時間で切る
「1本に2時間まで。時間が来たら、そこで出す」
これが一番効きます。質で判断すると永遠に終わらないので、時間で切ります。
最初はめちゃくちゃ気持ち悪いと思います。出した後に「あそこ直したかった」と思うはずです。それでいいです。 その気持ち悪さは、3本目くらいで薄れます。
出す前に見るのは1つだけ
チェック項目を増やさないでください。増やすと、また止まります。
「これ、伝わるか」
これだけ見て、伝わるなら出す。テロップの位置が1ピクセルずれていても、伝わります。
直したくなったら、次の1本に反映する
ここが一番大事かもしれません。
出したものを直すのではなく、次の1本で直してください。
出した1本を直しても、もう見た人には届きません。でも次の1本に反映すれば、次に見る人に届きます。同じ労力でも、効き方がまったく違います。
これができるようになると、1本ずつ確実に良くなっていきます。しかも止まりません。
まとめ
- 完成度を上げても、その1本が届く人数は変わらない
- 届く量を決めているのは、交流と、続けて出しているかと、広告
- 深夜まで直しているとき、向き合っているのは自分の中の基準
- 作品として突き詰めるのと、届けるのは別のスキル。 1本に両方を背負わせない
- つくる人ほど止まるのは、目が肥えているから。それ自体は資産
- 1本を磨く時間で3本出して比べる。差が次を教えてくれる
- 完成度は届いたあとで効く。 そこは手を抜かない
- SNSを作品だと思うなら、自分でやる。 告知や案内は外注していい
- 完璧を求めるなら、往復の回数を決めてその分払う。 安い金額で完璧は成立しない
- ルールは3つ。時間で切る/伝わるかだけ見る/直したいものは次の1本に
いいものを作れる人が、出せないまま止まっているのを見るのが、いちばんもったいないと思っています。
作る力はもうあるんです。あとは、出す回数だけです。
届く量そのものをどう増やすかは、SNS集客がうまくいかない本当の理由にまとめてあります。
よくある質問
クオリティを下げろということですか
違います。下げる話ではなく、1本にかける時間の上限を決める話です。完成度は届いたあとで効きます。
適当に出すと、逆に信頼を失いませんか
雑に出すのとは別です。伝わる状態にはしたうえで、自分の中の120点を目指すのをやめる、という話です。
何本くらい出せばいいですか
本数より、同じ形で比べられることの方が大事です。3本出して反応の差を見ると、次に何を直すかが分かります。
外注すれば解決しますか
作る時間は減ります。ただし何を出すかを決めるのは自分なので、迷う時間はなくなりません。
1本にかける時間はどのくらいが目安ですか
正解はありません。今かかっている時間の半分を上限にして、まず1か月やってみてください。
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