この記事の要点
- 言うことが食い違うのは、誰かが嘘をついているからではなく、それぞれ立場が違うから
- 営業は自社の枠を売りたい。取引先は自社の商品を売りたい。AIはあなたの現場を知らない
- 足りていないのは情報ではなく、誰の話を採用するかを決める人
- 戦略の判断は必ず誰かが持つ必要がある。自分で持つか、払って持ってもらうかの二択
- 安く頼むこと自体は問題ない。安く頼んで判断まで期待するのが問題
こんな経験、ありませんか。
掲載サイトの営業さんに「今はこれが伸びますよ」と言われて、その方向でやってみる。しばらくしてAIに聞いてみたら、まったく別のことを言われる。そのあと取引先の担当者に「今はこっちですよ」と言われて、また変える。
そして、その全部を外注先に伝えている。
これ、受けている側から見ると、どうなっていると思いますか。
毎回、最初からやり直しになっています
言葉にすると、こうです。
先月「元気で明るい感じで」と言われたので、そういう作りにした。今月「もっと落ち着いた高級感を」と言われて、全部作り直した。来月また変わるかもしれない。
だから、積み上がりません。
作ったものが次に生きないんです。毎回ゼロから。しかも本人は毎回ちゃんと直してくれるので、外からはうまく回っているように見えます。
でも中では、ずっと同じところをぐるぐる回っています。
そして半年経って、「なんか成果出てないよね」という話になる。これ、外注先のせいでしょうか。
違いますよね。方針が固まっていないものを、固めないまま渡し続けているからです。
ここだけの話、誰も嘘はついていません
じゃあ、なんでみんな言うことが違うのか。
これ、けっこう大事なところなので、はっきり書きます。
全員、善意です。誰も嘘をついていません。
ただ、立っている場所が違うだけです。
| 誰 | その人にとっての正解 |
|---|---|
| 掲載サイトの営業さん | その掲載枠を使ってもらうこと |
| 取引先の担当者 | 自社の商品が売れること |
| AI | 一般論として正しいこと |
| SNSで有名な人 | その人の環境で通用したこと |
見てください。どれも間違っていません。 その人の立場では、全部正しいんです。
掲載サイトの営業さんは、掲載枠のことを一番よく知っています。取引先の担当者は、その商品のことを一番よく知っています。だから聞く価値はあります。
でも、あなたの店の話はしていません。
去年何が当たったか。常連さんがどういう人か。今どこで詰まっているか。これを知っているのは、あなただけです。
だから、そのまま採用すると合わないんです。悪気があるからじゃなくて、その人の景色にあなたの店が入っていないからです。
AIも同じです
AIに聞くと、それらしい答えが返ってきます。しかも堂々と返ってきます。
でも、AIもあなたの店を知りません。常連さんの顔も、去年の失敗も、スタッフの得意分野も知らない。一般論として正しいことを言っているだけです。
しかも、たちが悪いことに、AIは95点のものを100点の顔で出してきます。 自信なさそうに出さないので、読む側が気づきにくい。
聞くのはいいんです。ただ、そのまま渡さないでください。 現場の事情を足すのは、あなたの仕事です。
足りていないのは、情報じゃありません
ここまで読んで、気づいた方もいると思います。
情報は、むしろ足りすぎています。営業さんも、AIも、取引先も、SNSも、いくらでも教えてくれます。
足りていないのは、誰の話を採用するかを決める人です。
これ、けっこう衝撃だと思うんですけど、情報を集めれば集めるほど、決める人がいない状態は悪化します。 選択肢が増えるだけなので。
だから、まず認めてほしいことがあります。
戦略の判断は、必ず誰かが持たないといけません。
これは避けられません。自然に決まることもありません。誰かが「今回はこっちでいく」と決めない限り、方針は永遠にフラフラします。
持ち方は、2つしかありません
じゃあ、誰が持つのか。
自分で持つか、お金を払って持ってもらうか。
これだけです。3つ目はありません。
自分で持つ場合
安く動画編集だけ頼む。これ、まったく問題ないです。むしろ賢い選択だと思います。
ただしその場合、何を作るかを決めるのはあなたです。だから、マーケティングは自分で勉強する必要があります。
編集する人は、編集のプロです。あなたの店をどう売るかのプロではありません。 そこまで求めるのは、料理人にお店の経営計画を書いてもらうようなものです。
払って持ってもらう場合
分からない、時間もない。それなら、判断を持ってもらう人に、その分を払うという形になります。
これは制作費とは別の仕事です。だから、編集代とは別に発生します。当たり前といえば当たり前なんですが、ここが混ざっている現場、本当に多いです。
一番まずいのが、どちらも選ばないこと
安く頼んで、判断まで期待する。
これが一番、誰も幸せになりません。
外注先は、判断を求められていることに気づいていないことすらあります。だから言われた通りに作る。方針が変わればまた作る。それが仕事だと思っているので、文句も言いません。
そして、成果は出ません。
安く頼むことは悪くないんです。 悪いのは金額じゃなくて、安く頼んだのに判断まで乗せてしまっていることです。ここは、交換条件の話です。
じゃあ、どうすればいいのか
3つだけ書きます。
1. 情報源に、ラベルを貼る
聞いた話を、そのまま並べないでください。
「掲載サイトの営業さんの話」「取引先の担当者の話」「AIの一般論」
こうやって誰の立場から出た話かをセットで持っておくと、採用するときに判断しやすくなります。
そうすると見えてきます。全員が自分の売りたいものを勧めているということが。それは悪いことではなく、当たり前のことです。
2. 変えるなら、理由と一緒に伝える
方針を変えること自体は、悪くありません。やってみて違うと分かったら、変えるべきです。
問題は、理由なしで変わることです。
「前回は元気な感じでとお願いしましたが、反応を見たら落ち着いた層の方が多かったので、そちらに寄せたいです」
これなら、受ける側は次に何を考えればいいかが分かります。 同じ変更でも、積み上がり方がまったく違います。
3. 決まっていないなら、決まっていないと言う
これが一番効きます。
方針が固まっていないまま依頼するのは、実はぜんぜんアリです。固まっていないことを先に言えばいいだけです。
「まだ方向性が決まっていないので、3パターン試したい」
こう言われたら、受ける側は試す前提で組みます。作り込まずに、比べられる形で出してくれます。
黙って1本作らせて、あとで全部変えるのが一番もったいないんです。時間も、お金も、関係も。
まとめ
- 言うことが食い違うのは、誰も嘘をついていないから。立場が違うだけ
- 営業さんは枠を、取引先は商品を売りたい。AIはあなたの現場を知らない
- 足りていないのは情報ではなく、誰の話を採用するかを決める人
- 判断は自分で持つか、払って持ってもらうかの二択。3つ目はない
- 安く頼むのは悪くない。 安く頼んで判断まで期待するのが、うまくいかない
- 変えるなら理由とセットで。決まっていないなら決まっていないと先に言う
外注先が一番困っているのは、難しい注文でも、細かい修正でもありません。
軸がないことです。
軸さえあれば、細かい注文はいくらでも受けられます。逆に軸がないと、どれだけ丁寧に指示しても積み上がりません。
同じ話を、お金の側から書いたものが知り合いに無料で頼むなら、あなたの仕事も無料でやってあげられますかにあります。
よくある質問
いろんな人に相談するのはよくないことですか
よくないことではありません。集めた話をどう採用するかを、自分か誰かが決めていれば問題ありません。決める人がいないまま集めるとブレます。
誰の言うことを信じればいいですか
その人が何を売っている立場かで判断してください。悪意の有無ではなく、立場によって見えている景色が違うだけです。
AIに聞くのは意味がないですか
意味はあります。ただしAIはあなたの店の常連さんも、去年の売れ筋も知りません。一般論として受け取って、現場の事情はこちらで足してください。
外注先に戦略も考えてもらうのは図々しいですか
図々しくありません。ただしそれは制作とは別の仕事なので、別の対価が発生する、というだけです。
方針が固まっていないまま依頼してもいいですか
かまいません。固まっていないことを先に伝えてください。伝えてあれば、相手はそれ込みで進め方を組めます。
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