この記事の要点

  • 知り合いに無料で頼めるかどうかは、立場を入れ替えてみればすぐ分かる
  • 自分の好きなものを作るのと、依頼を受けて作るのは、まったく別の仕事
  • AIが速くしたのは作る作業だけ。すり合わせの時間は1秒も減っていない
  • 動画の修正は1回2,000円前後。文字で送るのは3秒でも、受ける側は作り直し
  • 決めるのは最初の一往復だけ。始まったあとに言い出せるタイミングは来ない

知り合いに、仕事を無料で頼んだことありませんか。

たぶん、悪気はなかったと思います。私もそう思います。友達だし、そんなにお金を取るような関係じゃないし、ちょっとお願いするだけだし。

でも、ここでひとつだけ聞かせてください。

逆の立場になったとき、あなたは自分の仕事を無料でやってあげられますか。

施術でも、制作でも、接客でも、経理でも、なんでもいいです。友達から「ちょっとタダでお願い」と言われて、あなたは笑顔で3時間差し出せますか。

たぶん、けっこう考えると思うんです。

悪いのはあなたじゃなくて、見えていないことです

先に言っておきますけど、私はあなたを責めたいわけじゃないです。

無料で頼んでしまう理由は、性格の悪さじゃありません。単純に、その作業に何がかかっているのかが見えていないからです。

これ、けっこう構造の問題です。

たとえば相手が材料を買って何かを作るなら、材料費を払わないのは誰が見てもおかしい。目に見えるから分かるんです。

でも、時間は見えません。相手が3時間かけていても、こっちには「できました」しか届かない。だから、受け取っている実感がゼロのまま受け取れてしまう。

無料で頼むというのは、値引きじゃないんです。相手の時間を、そのまま持って帰っているということです。

ここだけの話、作るより大変なのは「すり合わせ」です

もうひとつ、たぶん外から一番見えていない部分の話をします。

自分の好きなものを作るのと、依頼を受けて作るのは、まったくの別ものです。

自分で作るときは、自由です。気に入らなければ変えればいいし、途中で方針を変えても誰にも怒られない。作ってて楽しい。

でも依頼だと、そうはいきません。

やっているのは、相手の頭の中にあるものを当てにいく作業です。

「もうちょっとオシャレな感じで」「なんか違うんだよね」「元気な雰囲気にしてほしい」

これ、言っている方には見えているんです。ちゃんと頭の中にイメージがある。でも受け取った側からすると、暗闇で手探りしてるのと同じです。

だから何度も出して、外して、また出す。この当てにいく時間が、実は作る時間より長いことがあります。

正直に言いますね。作業そのものは、慣れれば速いです。しんどいのはそこじゃない。正解が相手の中にしかない状態で、それを引き当てにいくところが一番しんどいんです。

AIで速くなったのは、作る作業だけです

ここでよく言われるのが、これ。

「今はAIがあるんだから、もっと安くできるでしょ」

半分は当たってます。作る作業は、確かに速くなりました。 下書きも、素材も、たたき台も、昔より圧倒的に早く出ます。そこは認めます。

でも、聞いてください。

すり合わせの時間は、1秒も減っていません。

AIは、あなたの頭の中を読めません。「なんか違う」の正体も分かりません。結局そこは、人間が何往復もして詰めるしかない。

しかも、たちが悪いことがひとつあって。作るのが速くなった分、「じゃあもう1案出して」が気軽に飛んでくるようになりました。 現場によっては、AIが来てから往復が増えてます。

だから「AIがあるから安くなるよね」は、半分正しくて、半分は逆です。

修正1回に、いくらかかっていると思いますか

ここ、一番言いたかったところです。

動画編集の修正は、1回2,000円前後が相場です。

「え、そんなにするの」と思った方、正常です。だいたいみんなそう思います。

というのも、修正を頼む側の負担って、ほぼゼロなんですよ。

「ここ直してください」とLINEで送る。以上。3秒です。

でも受け取る側では、何が起きているか。

編集ソフトを立ち上げる。該当箇所を探す。前後のつながりを見る。直す。全体を通しで確認する。テロップの位置がずれてないか見る。書き出す。この書き出しがまた時間を食う。 確認する。送る。

3秒の依頼が、1時間の作業になります。

しかもこれ、1回で終わらないことが多いです。3回直してもらったなら、それだけで6,000円分の作業を無料で受け取っています。相手はたぶん、何も言わずに黙ってやってくれています。

優しいからです。仕事だと思ってないからじゃなくて、あなたに気を使っているからです。

受ける側は、静かに消えていきます

今度は、受ける側の話をします。

紹介や知り合いからの依頼を、金額を決めずに引き受ける。最初は「今回だけ」のつもりです。実績になるし、と自分に言い聞かせます。

でも、ここがワナで。1回受けると、それがあなたの標準になります。

相手の中では、もう「この人はこの金額でやってくれる人」で登録が済んでいるんです。次も同じ条件で来ます。当たり前です。

そして半年後、こうなっています。

  • 作業時間はガッツリ取られている
  • お金は発生していない
  • 無料でやったものは、実績としても出しにくい
  • 断ると関係が悪くなりそうで、断れない

これ、ボランティア活動です。

ボランティアが悪いとは言いません。でも、事業としてやっているつもりなら、この状態が続く限り一生稼げません。

一番きついのは、忙しさだけは本物だってことです。時間は埋まっているから、新しい仕事を取りに行く余裕もない。稼げないのに、忙しい。これ、抜け出すのが本当に大変なんです。

なぜ、誰も言い出せないのか

不思議じゃないですか。両方とも「言った方がいい」って分かってるのに、言えない。

理由、はっきりしてます。

金額を言い出せるタイミングは、始まったあとには来ないからです。

作業が始まってから「ところでこれ、おいくらですか」って聞くの、めちゃくちゃ言いにくいですよね。もう相手は手を動かしてるわけですし。

受ける側も同じです。半分やっちゃったものに、あとから値段をつけるのは請求みたいに見える。だから今回は黙って、次から言おうと思う。

そして次も、まったく同じことが起きます。

つまりこれ、意志が弱いとかそういう話じゃないんです。タイミングの構造の問題です。 解決策は1つしかありません。

始まる前に決める。これだけです。

決めるのは3つだけです

難しいことは要りません。最初のやり取りで、これだけ決めてください。

1. いくらか

相場を知らないなら、そのまま聞いていいです。

「いくらでやってもらえますか」って、失礼じゃないです。むしろ聞かれた方は、ほっとします。言い出せなくて困ってるのは、たいてい向こうなので。

2. どこまでが1回分か

ここが抜けると、100パーセントもめます。

修正は何回まで含むのか。 決めておかないと、頼む側は無限に直せると思うし、受ける側は永遠に作業が続きます。

「初回の修正1回までは込み、それ以降は1回2,000円」

これを先に置いておくだけです。しかもこれ、頼む側にもメリットがあります。 遠慮して言えなかった修正を、堂々と言えるようになるので。

3. 割り引くなら、割り引いたと分かる形で

友達価格、あっていいと思います。ただし割引であって、無料じゃないです。

「本当は3万円だけど、今回は2万円で」

これを言うだけで、相手は何をしてもらったのか分かります。分かるから感謝も生まれるし、次に人を紹介してくれます。

黙って安くすると、その安さが標準になるだけです。 感謝もされず、値段だけ下がる。受ける側にとっては一番損な形です。

すでに、なあなあになっている場合

過去の分をさかのぼって請求するのは、正直きついです。無理にやると関係が壊れます。

現実的な方法は1つ。

次の依頼が来たときが、切り出しどきです。

「前回までは慣れてなくて、こちらの案内が抜けていました。次からはこの形でお願いしています」

これなら相手も責めないし、自分も悪者になりません。過去を蒸し返さず、これからだけ変える。 この言い方が一番通ります。

それでもし関係が終わるなら、もともとお金を払う気がなかった相手だったということです。早く分かってよかった、でいいと思います。

まとめ

  • 無料で頼むのは値引きじゃなく、相手の時間をそのまま持って帰っているということ
  • 判断に迷ったら、立場を入れ替えて自分に聞いてみる
  • 自分で作るのと、依頼を受けて作るのはまったく別の仕事
  • AIで速くなったのは作る作業だけ。すり合わせは1秒も減っていない
  • 修正1回は2,000円前後。 送るのは3秒でも、受ける側は作り直し
  • 決めるのはいくらか、どこまでが1回分か、割引と分かる形にするかの3つだけ
  • 言い出せるタイミングは始まったあとには来ない

お金の話をするのって、関係を壊す行為だと思われがちです。

でも逆です。決めないまま進める方が、あとで関係を壊します。

そして、これは1回の取引の話じゃありません。長く付き合える人を持てるかどうかの話です。 続く関係は、続けられる条件の上にしか成り立たないので。

同じ考え方をもっと広い範囲でまとめたものがSNS集客がうまくいかない本当の理由にあります。よかったらこちらもどうぞ。

よくある質問

知り合いに頼むとき、いくら払えばいいか分かりません

分からないなら、そのまま聞いてください。いくらでやってもらえますかと聞くのは失礼ではありません。決めないまま進める方が失礼です。

友達価格でお願いするのはダメですか

ダメではありません。ただし友達価格は割引であって、無料ではありません。いくら割り引いてもらったのかが、お互いに見えている状態にしてください。

AIがあるんだから、もっと安くなりませんか

作る時間は短くなりました。でも、何を作るかをすり合わせる時間は変わっていません。むしろ増えている現場もあります。

修正は何回まで無料が普通ですか

初回の1回までを含めて、それ以降は1回いくらと決めておく形がよく使われます。回数を決めること自体が目的です。

受ける側です。今さら金額の話ができません

次の依頼が来たときが切り出しどきです。過去は蒸し返さず、次からこの形でお願いしていますと伝えてください。

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