この記事の要点
- あとで気まずくなる原因は腕や相性ではなく、最初の一往復で決めていないこと
- 制作は使った時間が見えない。見えるようにしてから頼むと、それだけで揉めなくなる
- 時間が消えているのは作る作業ではなく、何を作るかのすり合わせ
- AIで速くなったのは作る部分だけ。決めて確認する時間は減っていない
- 決めるのは3つだけ。いくらか、どこまでが1回分か、割引と分かる形にするか
制作やデザインを誰かに頼んだあとで、こうなったことはないでしょうか。
追加の修正をお願いしにくい。金額を聞きそびれたまま進んでしまった。相手の返信が、だんだん遅くなってきた。
原因は、たいてい腕でも相性でもありません。最初の一往復で決めていないことが、3つあるだけです。
この記事では、その3つと、決めておくと何が変わるかを書きます。受ける側の内訳も出します。中が見えていた方が、決めやすくなるからです。
見えないものは、決めにくい
まず、なぜ決めそびれるのかから整理します。
材料を買って何かを作ってもらう場合、材料費を払わないという話にはなりません。目に見えるからです。
でも制作の仕事で相手が使っているのは、時間です。3時間かかっていても、こちらに届くのは「できました」の一言だけ。受け取っている量が見えないので、決めるきっかけがないまま進みます。
これは頼む側の性格の問題ではありません。見えないものは決めにくい、というだけの話です。逆に言えば、見えるようにしてから頼めば、それだけで揉めなくなります。
時間が消えるのは、作業ではなくすり合わせ
外から一番見えにくいのが、ここです。
自分の好きなものを作るのと、依頼を受けて作るのは、別の仕事です。
自分で作るときは自由です。気に入らなければ変えればいいし、締め切りも自分のもの。でも依頼を受けると、相手の頭の中にある完成形を、言葉から組み立てる作業が先に来ます。
- 何のために作るのかを聞く
- どこまでやるかの線を引く
- 出して、感想をもらって、直す
- また出して、確認してもらう
この往復が本体です。 作る作業そのものは、ここが固まったあとの話になります。
だから、方針が途中で変わると時間が大きく飛びます。作り直しになるからではなく、固まりかけていた前提が、また白紙に戻るからです。
AIで速くなったのは作る作業だけ
道具が進んで、作る時間は確実に短くなりました。文章の下書きも、画像も、動画の素材も、以前より速く出ます。
でも、すり合わせの時間は1秒も減っていません。
何を作るのかを決めるのは人です。出てきたものに違和感があるとき、どこがどう違うのかを言葉にするのも人です。むしろ、速く出せるようになった分だけ選ぶ回数が増えて、確認の往復が増えていることもあります。
だから、AIで作れるなら安くなりますよね、という話は半分だけ当たっています。安くなるのは作業の部分で、決める部分は変わりません。
修正1回に、何が起きているか
金額の感覚を持ってもらうために、中を開けます。
修正のお願いは、送るときは3秒です。ここをもう少し明るく。この順番を入れ替えて。文字にすれば1行です。
受ける側では、こうなります。素材を開き直して、該当箇所を直し、前後のつながりを見て、書き出して、確認用に上げ直す。1行の依頼が、作り直しになります。
うちでは、動画の修正は1回あたり2,000円前後で見ています。高いか安いかは人によりますが、大事なのは金額そのものではありません。1回いくらと決まっている状態が、頼む側にとって得だという点です。
決まっていないと、こうなります。これ以上言ったら悪いかな、と思って言わない。結果、納得していないものがそのまま納品される。遠慮した分だけ、仕上がりが下がります。
金額が決まっていれば、遠慮なく言えます。払えばいいからです。
決めるのは3つだけ
細かい取り決めは要りません。最初の一往復で、この3つだけ決めてください。
1. いくらか
最初に聞いてください。いくらでお願いできますか、は失礼な質問ではありません。
金額が出てきたら、それが何に対する金額かも一緒に確認しておくと確実です。作るところまでなのか、公開して動くところまで面倒を見てもらえるのか。ここが違うと、あとで話が食い違います。
2. どこまでが1回分か
一番揉めるのがここです。
- 修正は何回まで含まれるのか
- どこから追加になるのか
- 方向性そのものを変える作り直しは、別扱いか
初回の修正1回まで、それ以降は1回いくら。この程度の粗さで十分です。細かく決めるのが目的ではなく、線がどこかにあると分かっていることが目的です。
3. 割り引くなら、割り引いたと分かる形で
知り合いや紹介だと、安くしてもらえることがあります。ありがたい話です。
ただし、割引と無料は別のものです。 元がいくらで、いくらにしてもらったのか。ここがお互いに見えている状態にしてください。
見えていれば、次も同じように頼めます。見えていないと、次に正規の金額を出しづらくなって、関係の方が先に終わります。
知り合いに頼むときこそ、決めた方が楽
一番決めそびれるのが、知り合いや友人に頼むときです。お金の話を持ち出すと関係が変わる気がして、言い出しにくい。
でも実際は、順番が逆です。
決めないまま頼むと、相手の時間を、そのまま受け取っている状態になります。値引きをしてもらったのではなく、持って帰っている形です。悪気があるかどうかとは関係なく、そうなります。そして受ける側は、たいてい何も言いません。言えないまま返信が遅くなって、そのうち連絡が減ります。
迷ったら、立場を入れ替えてみると早いです。自分の仕事を、友人から3時間分ただでお願いされたら、どう感じるか。 そこで少しでも考えるなら、相手も同じです。
決めておけば、次も頼めます。続く関係は、続けられる条件の上にしか成り立ちません。
すでに、なあなあになっている場合
進行中のものを蒸し返す必要はありません。切り出すのは、次の1件が来たときです。
言い方は、これで足ります。
今回からちゃんとお願いしたいので、金額を教えてもらえますか。
過去の分を精算しようとすると、相手にも気を使わせます。次から、で十分です。
まとめ
- 気まずくなる原因は腕や相性ではなく、最初の一往復で決めていないこと
- 制作は使った時間が見えない。見えるようにしてから頼むと揉めない
- 時間が消えているのは作業ではなく、何を作るかのすり合わせ
- AIで速くなったのは作る部分だけ。決めて確認する時間は減っていない
- 修正は送るのが3秒でも、受ける側は作り直し。1回いくらが決まっていると、遠慮せず言える
- 決めるのは3つ。いくらか/どこまでが1回分か/割引と分かる形にするか
- なあなあになっているなら、次の1件から
頼む前に何を知っておくと選べるようになるかはサイトの土台では、何をやっているのかに、集客そのものの組み立て方はSNS集客がうまくいかない本当の理由にまとめてあります。
よくある質問
いくら払えばいいか分かりません
分からないまま進めるより、そのまま聞いてください。いくらでお願いできますかと聞くのは失礼ではありません。金額が決まっていない状態の方が、お互いに動きにくくなります。
友達価格でお願いするのはダメですか
ダメではありません。ただし割引は無料とは別のものです。元がいくらで、いくらにしてもらったのかがお互いに見えていれば、次も気持ちよく頼めます。
AIがあるなら、もっと安くなりませんか
作る時間は確かに短くなりました。ただ、何を作るかをすり合わせる時間は変わっていません。速く出せるようになった分、確認の往復が増えている現場もあります。
修正は何回まで無料が普通ですか
初回の1回までを含めて、それ以降は1回いくらと決めておく形がよく使われます。回数そのものより、線がどこにあるか分かっていることが大事です。
もう、なあなあのまま進んでいます
いま進行中のものを蒸し返す必要はありません。次の依頼のときに、今回からちゃんとお願いしたいので金額を教えてください、と伝えれば足ります。
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