この記事の要点
- ドタキャンの多くは悪意ではなく、連絡のタイミングを逃しただけで起きる。前日確認の自動化が最初の対策になる
- 効く対策は3つ。前日確認の自動化、キャンセルポリシーの事前提示、必要に応じた事前決済
- キャンセル料の請求は民法上の根拠があるが、事前に開示して同意を取っていることが条件になる
- 相場は前日キャンセルが施術料金の2〜3割、当日は5割、無断は全額という目安をよく見かけるが、店ごとに決めるもの
- ポリシーは規則ではなくお願いとして渡す。責める書き方は、常連ほど離れる原因になる
前日にキャンセルの連絡が来る。もっと困るのは、連絡もなく時間だけが過ぎていくことです。空いた枠はその日のうちに埋まらないことが多く、施術1件分の売上と準備した時間がそのまま消えます。
ここで大事なのは、来なかった人を責める方向に進まないことです。ドタキャンの多くは、うっかり忘れていただけか、連絡しづらくてそのままになっただけです。この記事では、責めずに減らすための順番を、前日確認の自動化から書きます。
起きる理由は連絡のしにくさ
無断キャンセルが起きる理由は、実は単純です。予約した日を忘れている、または気まずくて連絡できずにそのまま当日を迎えている、このどちらかが大半を占めます。
悪意を持って穴を開ける人は少数です。だとすれば、対策の入り口は性悪説で固めることではなく、忘れそうな人に思い出してもらうこと、連絡しやすい導線を用意することになります。
効く対策は3つ
順番に効果が高い対策から並べます。
前日確認の自動化
最初に手を付けるべきはここです。予約の前日にリマインドのメッセージを自動で送るだけで、忘れていた予約を思い出してもらえます。手作業で一件ずつ連絡していると、忙しい日は抜けが出ますが、自動化しておけば毎回同じタイミングで届きます。
LINE公式アカウントやSMS、予約システムのリマインド機能など、送る手段はいくつかあります。すでにLINE公式アカウントを使っているなら、追加の契約なしで組める場合もあります。設計の考え方は、LINE公式ステップ配信のつくり方で書いた登録直後の流れと近く、決めた日数で自動的に送るという仕組みそのものは同じです。
タイミングは前日の夕方から夜にかけてが多く使われています。仕事や家事が一段落して、翌日の予定を見返す時間帯に合わせる考え方です。当日の朝にもう一度、念のための確認を送る2段構えにしている店もあります。
キャンセルポリシーを先に渡す
ポリシーがないまま当日に請求すると、聞いていないという反応になりやすく、揉め方が大きくなります。逆に、予約の時点で条件を見せておけば、当日の請求は驚きではなく確認になります。
見せる場所は、予約フォームの確認画面、予約完了メールやメッセージの文末など、予約の直後に必ず目に入る場所です。注意書きを小さく添えるだけでは、見ていなかったと言われた時に弱くなります。チェックボックスで同意を取る、あるいは口頭で一度説明する、どちらかの形にしておくと後で困りにくくなります。
事前決済という選択
前日確認とポリシーだけでは減らない場合の、次の一手です。予約時にカード情報を登録してもらう、あるいは一部を前払いしてもらう形にすると、無断キャンセルそのものが起きにくくなります。カード情報を登録するという行為自体が、来店への意識を上げる面もあります。
ただし予約のハードルは上がります。特に新規のお客様にとっては、初めての店でカード情報を先に渡すことに抵抗がある場合もあります。無断キャンセルが繰り返し起きている段階で検討する、後回しにできる対策として位置づけておくのが無難です。
キャンセル料を請求するときの注意
キャンセル料の請求には民法415条の債務不履行を根拠とする考え方があり、法律上は認められています。ただし有効に請求するには、消費者契約法の範囲内で金額を設定していること、そして予約の前にその内容を開示して同意を得ていることが条件になります。この2つが揃っていないと、あとで揉めた時に請求が通りにくくなります。
金額の目安としては、前日キャンセルで施術料金の2〜3割、当日キャンセルで5割前後、無断キャンセルで全額という設定が予約システム会社のコラムなどでよく紹介されています。ただしこれは一つの目安であり、法律で決まった金額ではありません。自分の店の客単価や、どこまで請求すると運用が回るかを見ながら決めるものです。
高額すぎる設定は消費者契約法上の平均的損害を超えるとみなされる可能性があるため、施術にかかる材料費や、その枠を他の予約で埋められたかどうかを踏まえて、無理のない範囲に収めておくことをおすすめします。
責めない伝え方
ポリシーの文面は、規則を突きつける形ではなく、お願いとして渡す方が伝わります。
たとえば、キャンセルの場合は前日までにご連絡くださいという一文と、直前や無断の場合はキャンセル料を頂く場合がありますという一文を、順番に並べるだけで印象が変わります。いきなり罰則から入る文面は、悪意のない大多数のお客様にとっても居心地の悪いものになります。
リマインドのメッセージも同じです。ご予約をお忘れなくお願いしますという確認の言葉に留め、キャンセルの可能性を疑うような文面は避けます。忘れていた人には確認として届き、忘れていなかった人には気持ちのよい前日連絡として届く、そのくらいの温度感がちょうど良い形です。
どこから始めるか
いきなり全部を揃える必要はありません。まず前日確認を自動化し、それと同時にキャンセルポリシーを予約導線の中に一文で入れる。ここまでで多くの店は当日キャンセルが目に見えて減ります。それでも無断キャンセルが繰り返される場合に、事前決済やキャンセル料の実際の請求を検討する、という順番が現実的です。
どの手段で前日確認を自動化するかは、今使っている予約の受け方によって変わります。LINE公式アカウントなのか、予約システムのリマインド機能なのか、どこまで自分で組めてどこから頼むべきかを迷う場合は、お問い合わせからご相談ください。頼む範囲を決める前に確認しておきたいことは、制作を外注する前に決める3つのことにもまとめています。
まとめ
- ドタキャンの多くは悪意ではなく、忘れることと連絡しづらさが原因
- 最初に効くのは前日確認の自動化。手作業より抜けがなくなる
- キャンセルポリシーは予約の時点で見せる。当日の請求を驚きにしない
- キャンセル料の請求には法的根拠があるが、事前開示と同意が条件
- ポリシーもリマインドも、規則ではなくお願いの温度感で伝える
空いた枠は、その日のうちに埋め直すのが難しいものです。だからこそ、起きてから対応するより、起きにくくする仕組みを先に整えておく方が、結果として時間も売上も守れます。
よくある質問
キャンセル料を取ると常連が離れませんか
取ること自体より、伝え方で印象が変わります。予約のたびに小さく注意書きするより、初回に一度だけ丁寧に説明し、以後はリマインドの文面に一言添える形の方が角が立ちません。実際に離れやすいのは、直前になって急に請求された時と、責めるような文面で伝えられた時です。
前日確認は何時に送るのが良いですか
決まった正解はありませんが、前日の夕方から夜にかけて送る形をよく見かけます。仕事終わりに予定を見返すタイミングに合わせる考え方です。当日の朝にもう一度送る2段構えにしている店もあります。
事前決済まで導入するべきですか
無断キャンセルが繰り返し起きている段階なら検討の価値があります。ただし導入すると予約のハードルも上がるため、まずは前日確認とポリシーの提示だけで様子を見て、それでも減らない時に次の手として検討する順番をおすすめします。
キャンセル料の金額はどう決めればいいですか
施術料金に対する割合で決める店が多く、前日は2〜3割、当日は5割前後、無断は全額という目安がよく紹介されています。ただしこれは目安であり、消費者契約法の範囲を超える高額な設定は認められません。金額を決めたら、予約時にその内容を必ず見せる形にしておくことが欠かせません。
常連にはポリシーを緩めてもいいですか
運用として緩めること自体は可能ですが、ポリシーの文面そのものを常連用と新規用で分けるのはおすすめしません。誰に対しても同じ条件を提示したうえで、実際の請求をどこまでするかは個別に判断する、という分け方の方が説明がしやすくなります。
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